手足口病は同じウイルスでは再発しない|解熱剤や水分を使用しよう | カナクリニック | 池袋の痩身・医療ダイエット・レーザー脱毛の美容クリニック

池袋西口
徒歩1分

コラム | カナクリニック | 池袋の痩身・医療ダイエット・レーザー脱毛の美容クリニック

COLUMN

手足口病は同じウイルスでは再発しない|解熱剤や水分を使用しよう

カテゴリー:コラム

2021年8月24日


images

手足口病は夏に流行する、乳幼児に多い口の中、手、足に水疱を伴った発疹を起こす感染症。ウイルス感染症で、多く7~10日ほどで治ります。対症療法が治療の基本です。高熱や頭痛・嘔吐がひどい場合は早めに受診をしましょう。

手足口病、インパクトが有る名前な割に「それ、どんな病気?」と思われることが多いと思います。夏に流行するということも有るので、今回は「そもそもどういう病気なのか?」「どんなことに気をつけたらいいのか?」というあたりを丁寧に説明していくことができればと思います。

手足口病ってどんな病気?

手足口病は、その名の通り【口腔内】【手】【足】などに水疱性の発疹が現れるのが最大の特徴の【ウイルス感染症】です。

手足口病の特徴

4歳位までの幼児を中心に、夏に流行が見られる疾患で、2歳以下が患児の半数を占めています。一度原因となるウイルスに感染したら、そのウイルスに対する免疫が成立します。そのため、再度同じウイルスが原因でかかることはないとされています。

再発する場合は他のウイルスが原因

逆に言うと、手足口病を引き起こす別のウイルスに対しては免疫が成立しないので手足口病に複数回かかってしまう人も居ます。

病原体と感染経路

手足口病は、エンテロウイルス71型や、コクサッキーウイルスA群6,10,16型などが主な原因ウイルスだとされています。
ヒトからヒトに伝染する経路は、主に飛沫感染(マスクで防ぐことができるもの)ですが、便の中に排出されたウイルスからの経口感染(ノロウイルスのような感じ)、破れた水疱からの感染などがありえます。
便の中への排泄は症状が消えた後も半月から一ヶ月程度行われるために、長期間に渡って感染源になりえます。
保育園や幼稚園など、人の多いところに行く機会が増えることで感染のリスクが上がります。

症状の出方と経過*1

コクサッキーウイルスA群16型やエンテロウイルス71型による手足口病では、感染後3~5日程度の潜伏期が有った後、口腔内、手のひらや足の裏に皮溝(指紋の溝の部分)方向に沿った水疱が出現します。肘、膝、殿部にも形成されることもあります。
口腔内では、潰瘍、びらんがみられることもあり、約30%程度の患者に38度以下の軽度の発熱が診られます。
通常は1週間程度程度の経過で水疱が痕を残さず消え去って自然に治っていきます。

稀な合併症

エンテロウイルス71型による手足口病の場合では、髄膜炎や急性脳炎による中枢神経合併症が起こる場合があるとされています。*2

診断方法

手足口病はウイルスが原因で発生する病気ですが、実際問題、我々医師は新型コロナウイルスみたいに、具体的にどのウイルスで、どの型か?などと一々調べてから治療をするということはあまりないです。

というのも、手足口病の場合1週間程度で自然に治り、おまけにその後同じウイルスが原因で手足口病にかかることはないからです。

学術的な興味や、大流行が発生した場合の原因のためにどのウイルスか調べるのは有意義ですが、通常の診療では残念ながら手間とお金(皆さんが月々納めている社会保険料が原資です)と時間が消えていくだけなので行われないことが多いです。

診断は臨床症状でなされることがほとんど

というわけで、普段は臨床症状をみて診断を進めていきます。
【水疱性発疹の状態とその分布】を診た上で、季節や周辺地域での流行状況が参考になります。

鑑別疾患
※鑑別:診断するときに、他に同じような症状を引き起こす病気を考え、その病気ではないかどうか区別していくこと

手足口病の他に、診察する際に注意するべき病気は、口の中に水疱ができて、喉の痛みと高熱を出すヘルパンギーナや、ヘルペスウイルスによる歯肉口内炎などがあります。
ヘルパンギーナは手足口病と同じくコクサッキーウイルスA群により引き起こされますが、39℃以上の熱が出たり、口腔内の水疱のみならず、喉が赤く腫れて、場合によっては食事や水を飲むことが出来なくなる場合があるので、区別は比較的容易です。
ヘルパンギーナは同じウイルスが引き起こす病気とはいえ、手足口病よりも症状が重いので、より一層注意深く経過を見ることが大切です。

治療・予防の方法

治療の実際

今の所、これをやれば一発で治る!という方法はありません。
ちなみに、ウイルス性感染症なので、抗生物質は無効です。

少し筆者の愚痴が入ってしまいますが、風邪で受診された患者に解熱剤や鎮痛剤、炎症止めなどを出したところ、【抗生剤は出してくれないのか?】とよく言われました。
研修医の頃は、外来患者数が少ないことと、後ろで指導医が見ていることもあり、【風邪はウイルス感染症】であることと、キチンと細菌とウイルスについて説明して、細菌が原因じゃないと抗生物質が効かないことや、無闇に抗生物質を使うとお腹を壊すなどの体調不良が起こったり、予期せぬ耐性菌ができて本当に抗生物質が必要になった時に困る可能性について伝えていました。

研修後、指導医の手から離れて診療を始めてからは、兎に角パンクしかかっている外来をこなさないといけないので、「本当は抗生剤要らないんだけど、この人に5分割いて説明するより、次の患者さんが待ちくたびれているから早く診察終わりにしてしまおう」などと考えて、言われるがまま処方することも度々ありました。

カナクリニックは完全予約制なので、出来るだけ待ち時間を少なくして、一人一人の患者さんに十分な診療を提供することを是として動いているので、その辺りは問題ないかと思います。
この記事を読まれた方で、これまで風邪に対して抗生物質の処方を受けていた方は、次回かかりつけの先生に受診の際にご参考いただけると嬉しいです。

さて、話を戻すと、手足口病はなにぶん自然に治っていくことが多いものなので、症状を和らげる治療がメインになっていきます。
具体的には、痛み対して鎮痛剤、かゆみに対して抗ヒスタミン剤などです。
38度未満の発熱であることが多いので、解熱剤は使用しないことが多いです。
しかしながら、夏という環境と、痛みで水分が取れないことによる脱水には注意が必要です。
脱水は、ときに点滴で水分を補う必要がある場合がありますので、気になる時は速やかに受診しましょう。

予防

ワクチンはアジア諸国で開発が進められているようですが、まだ実用化されていません。*3,4
手足口病と分かれば、症状がある患者との接触予防と、飛沫予防が重要です。特に手洗いを念入りに行うことが重要とされています。原因となる病原体が特定されていなくても、感染予防で行うべきことはほぼ同じです。【手洗い】、【マスク】、【うがい】が肝です。

スタンダードプレコーション(標準予防策)

医療における感染予防の考え方に、スタンダードプレコーション(標準予防策)というのがあります。考え方の基本は【(自分自身を含めて)全ての人は他の人に移してしまう病原体を保有している可能性があるから、患者やその周辺の環境に触れる時は手指消毒や防護服の着用などを行う】というものです。
医療における【標準】とは、【最も優れた良いもの、こと】です。決して、小中学校の問題集のように基本、標準、発展などと分かれているわけではありません。
イメージしていただきたいですが
仮に標準治療より優れたものがあるとすれば、患者も医師もその治療方法を行いたいと考えます。そうしたら、みんなが優れた治療方法のみを行うことになるので、それが【標準】になります。医療は日々進歩しているので、タイミングによって標準の内容が変わることが味噌です。
長くなりましたが、現時点でのスタンダートプレコーションでは、特に手洗いが重視されていて、患者やその周辺環境にふれる場合は、手袋やマスク、防護服の装着を行います。(うがいは、スタンダートプレコーションに含まれていませんが、感染予防効果があるために記載しています)そして患者や回復した人にも、特に排便後の手洗いを徹底してもらう必要があります。

アルコール消毒は手足口病には無効*5

さて、新型コロナウイルス感染症対策として、アルコールを用いた手指消毒が行われています。ところが、手足口病を引き起こすエンテロウイルスやコクサッキーウイルスに対しては、アルコール消毒は無効です。

エンベロープウイルス ノンエンベロープウイルス
https://family.saraya.com/kansen/envelope.htmlから引用

なぜかというと、コロナウイルスはエンベロープと呼ばれる脂質でできた膜があり、それがなくなると失活します。脂質なので、アルコールで溶けるために、アルコール消毒が有効です。
エンテロウイルスやコクサッキーウイルスは、ノンエンベロープウイルスと呼ばれており、その名の通りエンベロープが存在せず、タンパク質の殻がむき出しの状態です。そうなってくると、アルコールを用いても消毒効果はありません。

エンベロープウイルス ノンエンベロープウイルス
https://family.saraya.com/kansen/envelope.htmlから引用

石鹸で手洗いをするのは有効ですので、手洗い自体は引き続きよろしくお願いします。

学校は休むべき?

乳幼児がかかる事が多い手足口病、もしかかったら、学校には行かせていいのでしょうか?
法律的な話をすると
手足口病は、「5類感染症定点把握疾患」に定められています。
感染症の発生状況を把握・分析し、情報提供することにより、感染症の発生およびまん延を防止することを目的として行われています。日本という国が、ちゃんと流行状況を把握したい病気ということができます。
そして、学校保健法では、学校で予防するべき伝染病に含まれていません。

患者本人の症状や状態で判断してOK

主な症状である手足口の発疹がなくなり、熱が下がった状態になった後も、しばらくウイルスは長期に渡って排泄されることがあるために学校・幼稚園・保育園などで流行するのを止める目的で急性期だけ登校停止を行っても、あまり効果が期待できないというのが理由です。
そして、手足口病の大部分は軽症で、集団としての問題は少ないので、発疹だけの患児に長期間欠席をしいる必要はないし、現実的ではないとされています。
登校・登園の問題については、流行の阻止というよりも、本人の症状や状態で判断して良いと考えられています。

まとめ

・手足口病はウイルス性感染症
・多くは軽症で早期に解決し、(同じウイルスでは)再発しない
・脱水に注意
・症状が治まった後もウイルスがしばらく排泄される
・手洗い、手袋、マスク、(うがい)などで感染対策を行う
・アルコール消毒は無効


オンライン診療「クリニクス」