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急に玉が腫れたら精巣上体炎かも! 不妊にならないために症状を知ろう(後編)

カテゴリー:コラム

2022年1月25日


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精巣上体炎を疑う際に見逃にしてはいけない病気が「精巣捻転」です。精巣捻転という病気は、その名前が示す通り「精巣がねじれる」病気です。精巣は「精索」という構造で体とつながっています。
精巣がねじれてしまうと、精索がぎゅっと締め付けられることで、精巣への血の流れが悪くなってしまいます。精巣へ血液(栄養など)が届かなくなると、精巣は徐々に機能を失っていきます。
このため、精巣上体炎を疑うときには必ず精巣捻転も疑って調べる必要があるのです。
精巣捻転ではなく、精巣上体炎を疑った場合には、触診・検尿・エコー検査・採血を行います。
精巣上体炎の治療では抗生物質(抗菌薬)を使います。若い方で症状が軽い場合は、抗生物質を数日間飲んでいただく治療を行うことがあります。一方、高齢の方や症状が重い方は、より早く治療効果を出すために抗生物質の点滴を行います。

こんにちは。院長です。
普段は皮膚科的な事柄なのに、今回は急に泌尿器というか、性に関する話題です。実はこの記事を書こうと思ったのがクリスマスで…というのがあったりします笑
カナクリニックは美容皮膚科ですが、院長はなぜか性に関する相談を受けることが多く、「性欲が〜」とか、「AGAの薬飲んで精子に影響しない?」とか、「三大欲求で相談しにくいものが〜」などといわれるので、一度泌尿器科系で記事を書いてみようと思った次第です。
今回は精巣上体炎の第二弾です。一緒に学んでいきましょう。

精巣上体炎を疑うときには
必ず精巣捻転も疑って調べよう

精巣上体炎を疑う際に見逃してはいけない病気が「精巣捻転」です。
精巣捻転という病気は、その名前が示す通り「精巣がねじれる」病気です(*1)。精巣は、「精索」という構造で体とつながっています。精巣がねじれてしまうと、精索がぎゅっと締め付けられることで、精巣への血の流れが悪くなってしまいます。精巣へ血液(栄養など)が届かなくなると、精巣は徐々に機能を失っていきます。

精巣捻転の症状:

精巣捻転の特徴は「突然起こる激しい痛み」です。痛みが起こった後、精巣周辺の腫れが起きます。
痛みに伴って、
・発熱
・吐き気
・嘔吐
が見られることもあります。
精巣捻転は、思春期の男性に生じやすいとされています(*2)。精巣捻転が起きた場合、6時間から12時間以内に、精巣のねじれを解除しなければならずスピーディーな対応が求められます。その時間内に処置を行わないと、精巣が死んでしまうからです(*3)。

精巣捻転の診断:

精巣捻転を診断するときに大切なことは「問診」と「エコー検査」です。患者さんとのお話で
・発症のきっかけ
・症状
・患者さんご自身の情報(年齢性別など)
を確認することが何よりも大切です。
問診の結果として精巣捻転を疑う場合、エコー検査 (超音波検査)を行ない診断します。エコー検査(ドップラー法)を用いて「精巣への血の流れが低下していること」を客観的に示すことで精巣上体炎を確認します。

精巣捻転の治療:

精巣捻転の治療は「手術」です(*4)。ねじれてしまった精巣や周りの組織を元に戻します。
これによって血の流れを正常な状態に戻します。治療開始までの時間が遅くなると、精巣の一部が死んでしまい、手術を行っても回復できないことがあります。「精巣捻転が起きた場合、6時間から12時間以内に、精巣のねじれを解除しなければならずスピーディーな対応が求められる」のはこのためです。
残念ながら精巣の機能が失われた領域については、手術で取り出すことになります。

他にも、精巣上体炎を疑うときに見逃してはいけない病気として以下のものが知られています:
(1)精索静脈瘤:玉の内部にある静脈が太くなりコブのようになった状態です。
(2)精巣上体結核:結核菌が腎臓・膀胱(ぼうこう)から、さらに尿道を通って精巣上体まで行き発症する病気です。
(3)ムンプス精巣炎:おたふくかぜ(ムンプス)によって精巣に炎症が起きた状態です。

精巣上体炎を調べるためには
触診と検尿が基本の検査となる

精巣上体炎を疑った場合には、触診、検尿、エコー検査、採血を行います。

(1)触診

まずは手で直接触ることで、
・精巣の状態
・精巣上体の腫れ具合
・精巣上体を押した時の痛みの有無
を調べます。精巣上体炎については、痛い方の陰嚢を持ち上げると痛みが和らぐ(プレーン兆候陰性と言います)ことが知られていますが、実際には参考にはなりにくいとされています。

(2)検尿

おしっこを取ってもらい、それを顕微鏡で観察します。顕微鏡を見ながら
・白血球(ばい菌と戦う成分)
・実際の細菌
の有無について詳しく観察します。白血球が一定数(一視野あたり5個以上)認められれば、尿路感染症と診断します。
また、尿から実際にどのような細菌や真菌がいるのか同定する尿培養検査を追加することがあります。*これに加え、病歴から性感染症が疑われる場合にはこれらの核酸増幅法(polymerase chain reaction:PCR)検査を行います。

(3)エコー検査

エコー検査では、炎症所見で精巣が腫れ、精巣上体の腫大および血流の増加を認めます。

(4)採血

採血では、炎症所見の上昇を診る白血球数、CRP(C-reactive protein)の上昇がないかを確認します。

精巣上体炎の治療には抗生物質が
ファーストチョイスだが適切な薬の
使い分けが必要

精巣上体炎の治療では抗生物質(抗菌薬)を使います。ただし、症状に応じて適切な薬を用いる必要があります。年齢の若い方で症状が軽い場合は、抗生物質を数日間飲んでいただく治療を行うことがあります。一般的には、抗生物質を数日間飲んでいただき、効果が出ているか否かをもう一度診察させていただいた後、抗生物質の治療を数週継続します。

一方、高齢の方や症状が重い方は、より早く治療効果を出すために抗生物質の点滴を行います。
高齢者や症状がひどい方の場合は、ばい菌が身体中をめぐる結果、全身がばい菌に感染した状態(敗血症)となる恐れがあります。万一そうなってしまうと生命に危険が及ぶ可能性があります。そのような危険な状態にならないために、高齢の方や症状が重い方には、より早く治療効果が出る抗生物質の点滴を行います。
精巣上体炎の治療を侮ってはいけません。放置すると不妊につながる恐れもある怖い病気ですから *5 。

痛い部位を冷やすと
精巣上体炎の症状が和らぐこともある

精巣上体炎の症状があまりに辛い場合には、
ゆっくり安静にする
痛い部位を冷やす
陰嚢を少し上に上げる
ことで症状が和らぐこともあります。

しかし、上に述べた対応はあくまでも「セルフケア」です。
精巣上体炎を根本的に治療できているわけではありません。精巣上体炎以外の病気が隠れている可能性もあります。急に玉が腫れたら勝手に自己判断せず、精巣上体炎の可能性も考慮して、すぐに泌尿器科の病院を受診することをお勧めいたします。

精巣上体炎の治療後にしこりができても
精巣上体炎が改善していれば放置して良い

この腫れは精巣上体炎の治療後、痛みがなくなった後もしばらくしこりのようになって残ることがあります。小さくなるにはしばらく時間がかかることが多く、小さくなってもしこりとして残ってしまう場合もあります。痛みがなく感染が改善していれば、基本的には放っておいて問題はありません。

まとめ

・精巣上体炎を疑う際に見逃してはいけない病気として「精巣捻転」があります。
・精巣上体炎を疑った場合には、触診、検尿、エコー検査、採血を行います。
・精巣上体炎の治療では抗生物質(抗菌薬)を使います。
・痛い部位を冷やすと精巣上体炎の症状が和らぐこともありますが一時的な対処療法です。
・陰嚢の強い痛みを感じた場合は泌尿器科受診をおすすめします。


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